- 作品ごとに登場する“ボス”って誰?
- ヴォルデモートとの関係は?

各シリーズでのボス(悪役)はヴォルデモートに仕えるものや関係するものになっています
この記事では、『ハリー・ポッター』全7作品に登場する“章ボス”たちを整理し、それぞれがどのようにヴォルデモートへと繋がっていったのかをわかりやすく紹介します
最終ボスはヴォルデモート!でも各作品ごとに“章ボス”が存在する
ハリー・ポッターシリーズの最終的な敵は、闇の魔法使い・ヴォルデモートです



彼は全7作品を通して、魔法界を支配しようとする最大の脅威として描かれています
しかし、各作品にはその物語ごとに“章ボス”ともいえる敵が存在します
彼らはハリーの前に立ちはだかるだけでなく、ヴォルデモートとのつながりを暗示する重要な役割を担っていました
各作品のボスとヴォルデモートとの関係
①『賢者の石』:クィレル教授(ヴォルデモートが寄生)
第1作のボスは、ホグワーツの闇の魔術の防衛術教師・クィレルです
彼は臆病な性格を装っていましたが、裏ではヴォルデモートに操られていました
秀才だが野望や憎しみに満ちた人物で、1991年世界旅行の最中にアルバニアの森で肉体を持たないヴォルデモートと出会い、 忠実な下僕となりました
その後ヴォルデモートは肉体を失った状態でクィレルの後頭部に寄生し、クィレルはヴォルデモートの指示のもと、不老不死の源になるといわれている「賢者の石」を奪おうとしていました
しかし、ハリーに阻止され、ヴォルデモートが肉体から離れると死んでしまいました
この章では、ヴォルデモートの“復活”という物語全体の目的が初めて明らかになります
②『秘密の部屋』:トム・リドル(分霊箱)とルシウス・マルフォイ(黒幕)
第2作のボスは、トム・マールヴォロ・リドル、若き日のヴォルデモート自身です
彼はホグワーツの「秘密の部屋」を開き、マグル生まれの学生を襲わせようとしました



この事件を導いたのは、ヴォルデモートの分霊箱である日記帳で、その日記をジニー・ウィーズリーに渡したのが、ルシウス・マルフォイでした
ホグワーツ在学中 (1943年) に秘密の部屋を開けたリドルでしたが、ダンブルドアの監視が強くなったため、いつか誰かが秘密の部屋を再び開けて中の怪物バジリスクを解放しマグル生まれを淘汰することを願い、この日記を分霊箱にし16歳の自分を中に閉じ込めました
その約40年後の1981年、ヴォルデモートはルシウス・マルフォイに日記を渡し、「これが秘密の部屋を再び開かせる物になるだろう」と説明します
しかし、その直後にヴォルデモートはハリーを殺し損ねて姿を消してしまったため、日記が分霊箱になっていることを知らないルシウスは、自分の計画のためにこれを利用しようと考えます
- ライバルのアーサー・ウィーズリーを失墜させる
- ダンブルドアをホグワーツから追放
- 自分とヴォルデモートとの繋がりを示す不利な物証を片付ける
という一石三鳥を狙い、1992年夏アーサーの娘のジニーの持ち物にこの日記を忍び込ませました
ジニーはこの闇のアイテムに夢中になり、リドルにコントロールされるようになったジニーは秘密の部屋を開け、 バジリスクを解放してしまいます
しかし、ハリーたちが救出に向かい部屋の中でリドルと対決。グリフィンドールの剣でバジリスクを倒し、その牙で日記帳(分霊箱)を破壊しました
ここで初めて「分霊箱」の存在が示唆され、ヴォルデモートの魂の仕組みが伏線として登場します
③『アズカバンの囚人』:ピーター・ペティグリュー
第3作のボスは、ハリーの両親を裏切った裏切り者・ピーター・ペティグリューです



彼は長年、ロンのペット「スキャバーズ」として姿を隠していました
ペティグリューは、かつてヴォルデモートに仕えた死喰い人の一人で、物語のラストでペティグリューが生きていたことが判明します
ハリーの両親を殺したとされていたシリウス・ブラックはピーター・ペティグリューに濡れ衣を着せられていたのです
結果的にピーター・ペティグリューはハリーの情けで命を助けられますが、ネズミに変身し逃亡してしまいます
この作品ではヴォルデモート本人は登場しませんが、
- ヴォルデモートの復活が近いこと
- ハリーにとってシリウスという家族ができたこと
「ヴォルデモートの戦い」と「愛情」を感じられる重要な回です


④『炎のゴブレット』:バーティ・クラウチ・ジュニア
第4作のボスは、闇の信奉者バーティ・クラウチ・ジュニアです
彼はポリジュース薬を使い、「マッドアイ・ムーディ」に変身して三大魔法学校対抗試合を操作していました
バーティ・クラウチ・ジュニアは死喰い人の一味とともに捕まり、父親のバーティ・クラウチによってアズカバンに収監されていましたが、死期の迫った妻から最後の願いとして息子を救出するよう嘆願されたバーティ・クラウチは、それを承知してしまいます
妻は獄中でポリジュース薬を飲み息子と入れ替わり、息子は妻の姿に変身し出獄しました



息子になり替わっていた妻は獄中で死んでしまいます
バーティ・クラウチは出獄させた息子には服従の呪文をかけ、 自宅で監禁していましたが、バーティ・クラウチ・ジュニアがまだ生きていることを知ったヴォルデモートは、クラウチ家を襲撃し、息子を釈放します
その目的は、バーティ・クラウチ・ジュニアを使って
- ハリーをヴォルデモートのもとへ導く
- ヴォルデモートを復活させる
ことでした
この作品のラストで、ついにヴォルデモートが完全に肉体を取り戻します
⑤『不死鳥の騎士団』:アンブリッジ
第5作では、直接的な敵はヴォルデモートではなく、魔法省のドローレス・アンブリッジです
彼女は権力と恐怖でホグワーツを支配し、生徒たちに罰を与え続けました
ハリーたちはこの圧政に立ち向かい、「ダンブルドア軍団(D.A.)」を結成します





また、復活したヴォルデモートも動き出します
ハリーとの魂のつながりを知ったヴォルデモートはそれを利用して予言を手に入れようとしますが、失敗に終わります



しかし、この戦いでシリウスはベラトリックスに殺されてしまいます
この作品ではホグワーツが安全な場所ではなくなったこと、大切な人を失くした辛さを描いています


⑥『謎のプリンス』:ドラコ・マルフォイとスネイプ(命令を受けた者と守る者)
第6作では、ドラコ・マルフォイ、スネイプが“ボス役”を担います
1996年6月父ルシウスが予言を取り戻す任務に失敗し、アズカバンに収監されると、ルシウスの大失態に怒ったヴォルデモートがドラコにダンブルドアの殺害を命じ、失敗したら家族を皆殺しにすると脅します
そこでドラコは姿をくらますキャビネットを使い死喰い人をホグワーツに侵入させる計画を立てます
しかし、キャビネットはなかなか修理できず、焦ったドラコは
- 呪われたネックレスを校長に届ける
- 毒入りのオーク樽熟成蜂蜜酒を送る
など、どうにかダンブルドアを殺そうとしますが失敗に終わります
そして、学年末についにキャビネットの修理に成功し死喰い人を城内に侵入させることに成功します
天文台の塔に闇の印を打ち上げ、ダンブルドアをおびき寄せ、塔の上で校長から杖を奪いますが、17歳の無垢な少年に人殺しは成しがたく、校長と向き合うと声は震え、説得されて杖をわずかに下ろします
しかし、ドラコの母親と破れぬ誓いを結んだスネイプがそこに現れ、ドラコの代わりにダンブルドアを殺害し、ドラコはスネイプとともに、ホグワーツから逃走しました
スネイプの行動はハリーがより一層スネイプを嫌悪する原因となりますが、のちに真意が明らかになります
この章では「ヴォルデモートの命令がいかに人々を支配しているか」が強調されています


⑦『死の秘宝』:ヴォルデモート
第7作のボスは、ついにヴォルデモート本人です
ハリーたちは彼の分霊箱を破壊し、最後の決戦に挑みます
最終的にヴォルデモートは、ハリーの自己犠牲と仲間たちの団結によって敗北します
7作を通じて積み重ねられた伏線がすべて回収され、物語は完結します
各シリーズのボスの共通点:すべてがヴォルデモートへと繋がる伏線だった
ハリー・ポッターシリーズに登場する“章ボス”たちは、それぞれがヴォルデモートの思想や影響を受け、彼の存在を際立たせる役割を担っています
- ヴォルデモートの「分身」または「代理人」
- 「支配」と「恐怖」の構図が共通している
- すべての章が「最終決戦」への伏線になっている
① ヴォルデモートの「分身」または「代理人」として登場する
第1作から第6作までのボスたちは、何らかの形でヴォルデモートの意志を代行しています
- クィレルはヴォルデモート本人を体に宿す
- トム・リドルは分霊箱を通じた“魂の欠片”そのもの
- ペティグリューはヴォルデモート復活の手先
- クラウチ・ジュニアは復活を実現させた張本人
- アンブリッジは「支配」と「恐怖」というヴォルデモートの象徴を体現
- ドラコやスネイプはヴォルデモートの命令に翻弄される“犠牲者”
このように、どの作品にもヴォルデモートの“影”が存在しています
直接登場していない章でも、彼の影響は常に物語の中心にありました
② 「支配」と「恐怖」の構図が共通している
章ボスたちは、いずれも“支配する者とされる者”の構図を浮き彫りにしています
- クィレルはヴォルデモートに支配
- ジニーはトム・リドルの日記に操られる
- ピーター・ペティグリューはヴォルデモートに怯える
- ドラコは家の期待と闇の命令の狭間で苦しむ
この“恐怖による支配”は、まさにヴォルデモートの象徴です
ハリーたちは毎回、形を変えたその支配に立ち向かってきたのです
③すべての章が「最終決戦」への伏線になっている
一見、独立しているように見える7つの物語ですが、振り返ると、すべてがヴォルデモートとの最終対決へと繋がっています
- 賢者の石 → ヴォルデモート復活の布石
- 秘密の部屋 → 分霊箱の存在
- アズカバンの囚人 → 裏切り者の登場
- 炎のゴブレット → 肉体復活
- 不死鳥の騎士団 → 世界の分断
- 謎のプリンス → 分霊箱の真実
- 死の秘宝 → 全ての決着
この流れこそ、J.K.ローリングが緻密に仕掛けた“壮大な伏線回収”です
まとめ:シリーズを通して描かれたヴォルデモートへの対決
ハリー・ポッターシリーズを通して登場した“章ボス”たちは、すべてヴォルデモートへと繋がる伏線でした
それぞれの戦いが積み重なって、最後に“恐怖よりも愛が強い”という普遍的なメッセージが完成したのです








