- スネイプって結局、ハリーにとって味方だったの?
- 「謎のプリンス」って誰?
- どうしてハリーは、自分の子どもに“セブルス”と名づけたの?

スネイプは生涯を通してハリーの母親リリーポッターを一途に愛したキャラクターです
作品を何度も観ている人でも、スネイプの行動や最後のシーンは少し複雑で、意外と整理できていないことが多いですよね
この記事では、スネイプという人物の正体、ハリーとの関係、そして最期に込められた想いをわかりやすくまとめました
セブルス・スネイプの人物像を解説


セブルス・スネイプは、ホグワーツ魔法魔術学校のスリザリン寮出身で、魔法薬学の教授として知られる人物です



後に「闇の魔術に対する防衛術」の教授にも就任します
一見冷たく厳しい態度で生徒に接していましたが、その裏には複雑な過去と深い悲しみを抱えていました
- 本名:セブルス・スネイプ
- 生年月日:1960年1月9日
- ホグワーツの寮:スリザリン
- 教職: 魔法薬学、スリザリン寮監、闇の魔術に対する防衛術
彼は1960年1月9日生まれ、マグルの父トビアス・スネイプと純血の魔女アイリーン・プリンスとの間に生まれました
スネイプは幼い頃から魔法の才能に恵まれており、特に魔法薬学・閉心術・開心術・闇の魔術に関しては天才的な実力を持っていました
幼少期は両親の喧嘩が絶えず家では孤独な思いをしていましたが、 近所の幼馴染の女の子と暴れ箒に乗ったりして一緒に過ごしていました
11歳にホグワーツに入学後、スリザリンに組み分けされました



この時すでに7年生の大半の生徒より多くの呪いを知っていたそうです
- ジェームズ・ポッター(ハリーの父)
- リリー・エバンズ(ハリーの母)
- シリウス・ブラック
- リーマス・ルーピン
- ピーター・ペティグリュー
在学中は彼らから「スニベルス(なきみそ)」という情けないあだ名をつけられ、在学中は理由もないのに攻撃されていました
優秀な生徒である一方で闇の魔術にも魅せられており、 その能力はもっぱら敵を逆さずりにする魔法や、相手を切り刻む邪悪な呪いなどを発明することに使用されていました
1978年に卒業すると、死喰い人となり、ヴォルデモートに命じられてダンブルドアに関する諜報活動を開始しました
その後1980年に自身の行動によってハリーの両親に命の危険があることを知ったスネイプは、深い自責の念に駆られ、それからはダンブルドアの側に寝返り、スパイとなりました
1981年からホグワーツの「魔法薬学」の教授に就任します
1991年にハリーが入学してからはジェームズそっくりの顔をした彼を目の敵にし、 難解な質問をしていびり、答えられないとせせら笑う一方で、陰ながらハリーを守るために全力を尽くしていました
スネイプとハリー・ポッターの関係
スネイプとハリーの関係は、物語全体を通して非常に複雑です
スネイプとハリーの関係は、最初から険悪で、ハリーに対して冷たく当たり、何度も厳しい言葉を投げかけました
しかしその裏には、深い因縁と「愛」にまつわる真実が隠されていたのです
① ホグワーツ入学当初:敵意のはじまり
ハリーがホグワーツに入学した1991年当初からスネイプはハリーを見るたびに、亡き父ジェームズを思い出し、憎しみをあらわにしました
ハリーに対してあえて難しい質問をしたり、減点ばかりしていました
しかし後に、スネイプがハリーを陰で守っていたという事実が判明します



「賢者の石」でクィレルの呪文を防いだのも、実はスネイプでした
② ヴォルデモート復活後
ヴォルデモート復活後、ダンブルドアの命を受けスネイプは再び「二重スパイ」として危険な任務に就きます



表向きは死喰い人としてヴォルデモートに仕えながら、裏ではダンブルドアの指示を受け、ハリーを守っていたのです
- ハリーに閉心術の個人授業を行う
- アンブリッジに偽の真実薬を渡す
など、不死鳥の騎士団のために働きました
5巻「不死鳥の騎士団」でハリーが禁じられた森から戻らなかったときは、 魔法省に行ったのではないかと推測し、騎士団のメンバーに連絡しハリーたちを助けるのに協力しました
しかし隠れていたシリウスを臆病者といつも皮肉っていたため、そのせいでシリウスが神秘部に行き亡くなったのだとハリーはスネイプを責めました
③ スネイプの死後に明かされた真実
『死の秘宝』でスネイプが亡くなった後、ハリーは「憂いの篩(ペンシーブ)」で彼の記憶を見ます
そこにはハリーの母リリーを愛し続けていたスネイプの人生がありました
- 予言をヴォルデモートに伝えたのがスネイプ
- そのことから深い自責の念に駆られ、ダンブルドアの側に寝返り、スパイとなる
- リリーへの愛からハリーをヴォルデモートから守り続けた
セブルス・スネイプの思い出の中で、ハリーはセブルスとリリーの友情の歴史を知ることになります
- ふたりともそれぞれの環境で孤独を感じている中で出会い、草木の生い茂る野原に仲良く寝そべっている幼い姿
- ホグワーツに入学後、スネイプは闇の魔術に魅せられていき、リリーはそんな彼を理解しようとしましたが、汚い言葉で罵ってしまい友情が壊れる記憶
- ヴォルデモートを裏切ってまでもリリーを守りたいという強い愛
- そしてその愛が今もなお続いており、それこそがハリーを守っていた理由
「これほどの年月が、経ってもか?」セブルスが呼び出した雌鹿の守護霊を見て、ダンブルドアがたずねました。「永遠に」
ハリーポッターと死の秘宝



スネイプの守護霊はリリーと同じ雌鹿の守護霊です
そこにスネイプのリリーに対する深い愛情をダンブルドアは感じ取ったのです
守護霊は常に希望を象徴する存在です
スネイプがどんな気持ちでリリーのいない日々を過ごしていたのか分かりませんが、リリーの守護霊がスネイプをディメンター(吸魂鬼)がもたらす絶望と憂鬱の闇から救ったのです
また、ハリーへ冷たい態度は父ジェームズ・ポッターが関係していました
ジェームズは学生時代、スネイプをしばしばからかい、屈辱を与えた存在であり、リリーとの友情が壊れるきっかけを作った人物でもあります
5年生のとき、 自分の発明した「レビコーパス」の呪文をジェームズから唱えられて、 みんなの前で汚いパンツを見られ、さらに仲裁に入ったリリーに「穢れた血」と暴言を吐いてしまったことがあり、 これがスネイプの最悪の記憶となったのです
そんなジェームズにそっくりなハリー、しかし、ハリーの“目”だけはリリーに似ています
スネイプはジェームズにそっくりの顔とリリーにそっくりな目を持つハリーを見るたびに、過去の痛みと愛を同時に思い出していたのです
この矛盾した感情が、スネイプの行動をより複雑にしていました
スネイプの二重スパイとしての使命


セブルス・スネイプの人生は、まさに“二重スパイ”という言葉に象徴されます
- 1978年~:ヴォルデモートに命じられてダンブルドアに関するスパイ活動
- 1980年~:ダンブルドア側に寝返りヴォルデモートに関するスパイ活動
- 1995年~:闇の帝王復活、ダンブルドアの命を受け、ヴォルデモート側につくふりをしながら情報をダンブルドアに流す
1980年、ヴォルデモート卿側の“死喰い人”に加わっていたスネイプは、人生最大の過ちを犯します
ホッグズヘッドで予言を盗み聞きし、その予言の内容をヴォルデモートに報告した結果、ヴォルデモートは「ポッター夫妻の赤ん坊こそが自らの脅威になる」と考え、リリーたちの殺害を決意したのです
この出来事がスネイプの運命を大きく変えました
スネイプがダンブルドアのもとに現れ、「殺さないでくれ!」と懇願し、ダンブルドア側に寝返りましたが、リリーはヴォルデモートに殺されてしまいました
愛するリリーの死を自ら招いてしまったという深い罪悪感――それが、彼を「贖い」の人生へと導いたのです
ヴォルデモート復活後もスネイプがヴォルデモートのもとに仕えながら、裏でダンブルドアに情報を流し続けたのは、ただひとつ、リリーへの愛を貫くためでした
闇の印を腕に刻み、恐怖と隣り合わせの毎日を送りながらも、スネイプはハリーの命を守ることを最優先に行動します
ハリーに対して敵対的な態度を取りつつも、スネイプは常に彼を守っていました
それは、かつて愛したリリーの息子を命に代えても守るという誓いがあったからです
彼にとってハリーは“宿敵の子”であると同時に、“リリーの面影”でもあったのです



傲慢なジェームズとは犬猿の仲でしたが、 シリウスにそそのかされて狼男に変身したルーピンに襲われそうになった時は、 ジェームズに命を助けられた過去もあります
スネイプが闇に惹かれ、友情を失い、愛を失ってもなお、命を懸けてその愛を守り続けたことが、彼の真の強さでした
また、6巻では瀕死の状態となったダンブルドアを手当てするなど、 校長のために忠実に働いていましたが、その裏ではドラコの母親と「破れぬ誓い」を結び、 ヴォルデモートからダンブルドア殺害を命じられたドラコを校内で見守ることを約束していました
そして1997年6月、天文台の塔の上でドラコが校長を殺せそうにないことを見て取ると、 自ら殺人魔法を唱えダンブルドアを一思いに殺害。ドラコら死喰い人を引き連れてホグワーツから逃走しました
そのことがより一層ハリーがスネイプに対して憎しみを抱く出来事とはなりましたが、実はダンブルドアから命を受けやっていたことだと後にわかります
ダンブルドア亡き後も、彼の遺志とリリーへの愛だけを支えに戦い抜いたのです
スネイプの最後と、ハリーが名を継いだ理由
スネイプの最期は『ハリー・ポッターと死の秘宝』で描かれます
ヴォルデモートに忠誠を誓っているように見えた彼は、実際にはハリーを守るために命を懸けていました
ヴォルデモートはニワトコの杖の真の持ち主となるため、ダンブルドアを殺したスネイプが現在の杖の持ち主だと勘違いし、スネイプを殺害します
死の間際、スネイプはハリーに自分の記憶を託し、こう言い残します
「リリーの瞳を見せてくれ…」
ハリーポッターと死の秘宝
その中でハリーは、スネイプがリリーを深く愛していたこと、そして自分を守り続けてきた真実を知るのです
スネイプの守護霊がリリーと同じ「牝鹿(めじか)」であったことも、彼の揺るぎない愛の象徴でした
のちにハリーは、息子(次男)に「アルバス・セブルス・ポッター」という名をつけます
ハリーは“セブルス”という名について息子に「僕の知る中で最も勇敢な人の名前だ」と語っています
- スネイプはリリーを心の底から愛していたから、ハリーのために死んだ
- スネイプに敬意を表しながらハリーも心の中で自身を許してほしいと願った
- ホグワーツの戦いでの死をハリーは永遠に忘れることが出来ない
このような理由からハリーは自分の息子に『セブルス』という名をつけました
ホグワーツの戦いでの死は永遠にハリーにつきまとうものであり、スネイプをたたえることで、ハリーは心の中で自分も許されることを願ったのだろうといわれています
「謎のプリンス」とは?タイトルの意味を解説
第6巻『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の「プリンス」とは、スネイプ自身のことを指しています
母の旧姓「プリンス」、そしてマグルと純血の魔女から生まれたことから彼が学生時代に自らを「半純血のプリンス」と呼んでいたことに由来します
この呼称には、「純血ではない自分」への劣等感と、「母の魔法の血」への誇りが入り混じっています
つまり、「謎のプリンス」はスネイプという人物の出自・内面・秘密の象徴なのです



ハリーが6年生で借りた学校の古い魔法薬学の教科書「上級魔法薬」は実はスネイプが学生時代に使っていた本でした
しかし持ち主の本名の記載がなく、ただ「半純血のプリンス蔵書」とだけ書いてあったのでハリーはスネイプのものとは知らずにずっと使っていました
まとめ:スネイプが「愛される悪役」と呼ばれる理由
スネイプは「裏切り者」「悪役」として登場しましたが、物語が進むほどに彼の内面の深さが明らかになりました
憎しみと愛、孤独と誇り、そのすべてを背負って生き抜いたスネイプは、「最も人間らしい人物」として描かれています
スネイプは、表面的には「嫌な教師」ですが、彼の行動にはすべて理由がありました
『リリーを愛し続け、その息子を命がけで守り抜いた』
その「報われない愛」と「誇りをかけた忠誠」が、彼を“愛される悪役”にしています